KSKQ(障害者事業団だより) 第3種郵便物認 通巻8637号 2016年12月8日発行 KSKQ ナンバー51 障害者事業団だより 一般財団法人障害者事業団 永年勤続障害者表彰を受けた職員4名(写真) 平成28年(2016年)10月13日(木曜日)、当事業団で25年以上働いている職員4名が、一般社団法人大阪府雇用開発協会さまから「永年勤続障害者表彰」を受けました。 いつもとは違い、緊張した表情の4名です。 6、7ページの記事も併せてご覧ください。 目次 2ページ 引き続き実施しています「こんにちは訪問」! 5ページ 平成28年度(2016年度)障害者問題連続講座のおしらせ 6ページ 4名の職員が永年勤続障害者表彰を受けました 8ページ SST、やっています! 箕面市障害者雇用支援センターの取り組み 9ページ 障害者事業団での働く経験を、次のステージに 障害者事業団が行う市の委託業務現場で働いていた人の、現在の様子 10ページ 緑化部門の熱中症対策の紹介 11ページ リサイクル部門での注射針の突き刺し事故から 12ページ 重度障害者市民のViewpoint ナンバー36 15ページ 平成27年度(2015年度)障害者問題連続講座第2・3回目報告 16ページ お知らせ・編集後記 引き続き実施しています「こんにちは訪問」! 一般財団法人箕面市障害者事業団 常務理事 兼 事務局長 野田泰弘 前任者が実施していた「こんにちは訪問」を引継ぎ、私も各現場を回っている(大体、週に1度のペース)。 数時間程度の作業体験かミーティングへの参加だが、各部署での動きや雰囲気を自分自身の肌で感じるための取り組みとして継続している。 大体2ヶ月ほどで、全部署を一回りできるペースとなるが、事業課の各現場(リサイクルセンター運営事業、緑化推進事業、収益事業、職種開拓事業)では、従事する職員と一緒に作業や接客等を体験し、時間やスペース等の制約が特にない現場では、昼食も一緒に取るようにしている。 就労支援課(喫茶るうぷメイプルホール店、豊能北障害者就業・生活支援センター、箕面市障害者雇用支援センター)では、主にミーティングに参加し、利用者や登録者に対する支援計画や現状の動き等について、僭越ながら確認させていただいている。 なお、「訪問」先として、総務課もあげられるのだが「総務課長」も兼務している関係上、定例ミーティングへの参加をもって「訪問」としている。 【総務課】 前述したように、総務課のミーティングには「総務課長」として毎回(毎週)参加しており、その週における実施すべき庶務的な手続き等について確認している。 また、これとは別に会計担当者会議(毎週定例)を実施していて、私を含めた全管理職と会計業務に従事する職員が出席し、資金収支の動きや収支における手続きについての確認、会計業務の進捗具合など相互チェックの場として機能している。 時には、公益法人会計基準について学ぶ機会も設け、会計処理及び手法等の再確認を行っている。 【事業課】 リサイクルセンター運営事業(資源ごみ選別業務) 朝のミーティングより参加、午前中一杯の作業体験の後、昼食も一緒に取らせていただいている。 訪問する曜日(大体いつも木曜日)は、主に瓶の選別作業が多いが、担当していた当時と作業の形態や選別する色の種別等が変わっていて、当初は戸惑うことも多かったが、現場職員の皆さんから、その都度丁寧に教えていただいたおかげもあって、少しは戦力になれているかなと自己満足している。 緑化推進事業(1.公園花壇管理業務等、2.みのおライフプラザの植栽緑化管理) 1、2とも朝のミーティングより参加、午前中一杯の作業体験。 昼食は事務所スペースの関係により、一緒に取るのは1のみ。 1の場合...車輌に乗り込み現場(市内各所の公園や街路樹等)への移動を伴うため、スケジュール管理が不可欠。 限られた作業時間の中で、効率よく分担し作業を進めなければならない。 また、ほとんどが屋外での作業となるため、暑さ寒さ対策や休憩時のトイレ等、様々な対応が必要となるが、障害のある職員もベテランが多く、お手の物である。 植え付けるポイントや除草すべき草等、色々と教えていただきながら作業をする場面も多い。 2の場合...市民が集う施設ということもあり、色々と気を配りながらの作業が必要となる。 また、施設内とはいえ屋外の掃き掃除や、屋内のある観葉植物の潅水等移動しながらの作業も多く体力的にもキツイが、施設の利用者さんや来館者の方からいただく激励のお言葉(「ご苦労様」「お花、綺麗ですね」等)がモチベーションの源となり頑張れる。 収益事業(喫茶るうぷライフプラザ店) かえって邪魔になるかもしれないのだが、お昼時の忙しい時間帯(午前11時30分から2時間程度)に「訪問」している。 たまっている食器を洗っていて、となりでゆすいでくれている障害のある職員から「ちゃんと洗えてないですよ」と食器を返品されて落ち込むも、忙しい中でもしっかりと確認しあうチームワークの良さを実感。 たまに、「あら!久しぶりやね」と私が担当していた頃からのお客様が来店され、声を掛けられることも。 職種開拓事業(アートショップクリーンるうぷ)以前は「フラワーショップ(お花屋さん)」だった「グリーンるうぷ」。 現在は、障害者団体の授産製品を、店頭にて委託販売している店舗である。 店舗内では、重度心身障害者である店長のTさんがパソコンに向かう姿が定番となっていて、介助職員とともに店を切り盛りしてもらっている。 ここでの作業体験はないが、陣中見舞い的な激励も兼ねて「訪問」している。 【就労支援課】 就労支援事業(喫茶るうぷメイプルホール店) 事業団の発足前から運営している店舗。 現在も通常に営業しながら、就労移行支援事業(箕面市障害者雇用支援センター)の利用者が就労に向けたトレーニングの一環として実地での接客業務に取り組める現場となっている。 「訪問」時に利用者が店舗に居るときは、売上にも協力しつつ、接客業務の練習台としてお客さんとなり、初々しいサービスを受けるようにしている。 豊能北障害者就業・生活支援センター 就職希望や在職中の障害のある方が抱える課題に応じて、雇用および福祉の関係機関と連携し、就業面と生活面の一体的な支援を行うセンターである。 主にミーティングへの「訪問」となるが、登録者それぞれの課題に寄り添いながら、ベストな支援を模索、実施している。特に、関係機関はもちろん事業団内部(雇用支援センターや実習等実施している事業課の各部署等)との連絡調整を大事にしながら個々のケースごとに丁寧な対応を心がける姿勢に触れ、今更ながらに感心。 箕面市障害者雇用支援センター 企業就労を目指す障害のある方に、就労に向けたトレーニング等の支援を行っている(期間は、原則2年以内)。 豊能北障害者就業・生活支援センター同様、こちらのセンターもミーティング(利用者のケース会議)への「訪問」であるが、あるとき、利用者へのSST教材ビデオの作成ということで、出演を依頼され参加(ちなみに私は、休憩時間中楽しくおしゃべりしているグループの話し声に対して「うるさい!」と怒る役や、職場で従業員に色々と注意する上司役など)したが、様々なアイデアをもって、利用者の理解を深めるための支援ツールを手作りする姿勢に感服しつつ、参加させていただいたことに感謝。 【各現場を訪問して】 主に事業課では、従事職員とともに作業を行うことで、現場の状況や雰囲気を体感しつつ、障害のある職員と「共に働く」を肌で感じることが出来る貴重な時間である。 もともと、事業課のほとんどの現場での担当経験はあるのだが、当時とはまた違う空気を感じながら現場の職員と共に行う作業を良い機会として捉えている。 現場にて久々に取り組む作業などは、手順や方法等を障害のある職員が積極的に教えてくれることも多く、どちらかといえば、訪問している自分自身が現場の職員に配慮してもらっている場面も多々あり、各現場での「障害のあるなしに関わらず、お互いを補い合って業務を進めていく」という姿勢が、しっかりと実践されていることをあらためて実感している。 また、就労支援課では、自分自身ほとんど現場経験のない部署ということもあり、新鮮な感覚での「訪問」となっていて、当事者へのきめ細かな支援やアプローチ 、関係団体との連携の重要性等、部署としての動きを目の当たりすることで、新たな発見や良い刺激となっている。 就労支援課での「訪問」を通じて、制度の中身や支援の進め方等についても吸収し、さらに勉強させていただければ幸いである。 今後も「こんにちは訪問」は継続し、実際に各部署の空気を吸って、取り組んでいることや困っていることを直接肌で感じながら、一緒に頑張ったり悩んだりして行ければと考えている。 《平成28年度(2016年度)障害者問題連続講座のおしらせ》 ヒューマンコミュニティみのお 平成28年度(2016年度) 障害者問題連続講座 障害者と共に生きる社会を問い直す 第1回 平成28年(2016年)12月9日(金曜日) 午後6時30分から8時30分 「ともに生きる社会に向けて -地域で暮らすことから-」 講師:野村 恭代(のむらやすよ)さん 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 准教授 第2回 平成29年(2017年)2月3日(金曜日) 午後6時30分から8時30分 「地域支援体制づくり、相談支援で障害者の生活がどう変わったか」 講師:福岡 寿(ふくおかひさし)さん 日本相談支援専門員協会 顧問 第3回 平成29年(2017年)3月17日(金曜日) 午後6時30分から8時30分 「障害者差別解消法の枠組みと意義、合理的配慮とは何か」 講師:川島 聡(かわしまさとし)さん 岡山理科大学 総合情報学部社会情報学科 准教授 元内閣府障害者施策委員会差別禁止部会構成員 参加費:無料 *手話通訳・要約筆記・点字資料・一時保育あります。 (保育希望の方は事前に問合せの上で10日前までに予約必要です) *駐車スペースに限りがありますので公共交通機関をご利用願います。 *当日の午後5時及びそれ以降の時間に、箕面市に、「特別警報」、「大雨警報」、「洪水警報」、「大雪警報」、「暴風警報」、「暴風雪警報」のいずれかが発令中の場合、講座の開催は中止します。 【主催】 箕面市 【運営】 一般財団法人箕面市障害者事業団 <電話> 072・723・1210 <ファックス> 072・724・3383 ホームページ http:/www.minoh-loop.net/ 会場 箕面市立障害者福祉センター ささゆり園プレイルーム 箕面市西小路3-9-9(阪急牧落駅より約1キロメートル) 【地図】 4名の職員が永年勤続障害者表彰を受けました 表紙にも掲載したとおり、当事業団で25年以上仕事を続けている4名が、一般社団法人大阪府雇用開発協会さまから、永年勤続障害者として表彰していただけることになり、先日開催された表彰式に参加してきました。 この表彰は、一般社団法人大阪府雇用開発協会さまの顕彰基金により、永年優秀な成績で就業・定着している障害者に対して、顕彰されているものです。 当事業団から、25年以上働いている4名の職員について、職員の模範となっている旨の推薦をおこなったところ、顕彰審査委員会での審査の結果、表彰されることが決定しました。 受賞が決まって、表彰式への参加のお知らせをもらってからは、会場までの行き方や、どんな服装で行けばいいかなと、それぞれ相談して決め、その日が来るのを、ご家族も含めてとても楽しみに待ちました。 そして、表彰式は、大阪梅田にある、ホテルの大広間が会場となり、当日は受付で渡された胸花をつけて緊張した面持ちで指定された席に座わり、大阪労働局長や大阪府知事からの祝辞を聞いた後、ひとりずつ名前と会社名を呼ばれて、表彰状をいただきました。 今回受賞した職員の皆さんの、25年間勤続されてきた功績に、改めて敬意を表したいと思います。 また、ご本人の努力に加えて、ご家族や生活支援に関わる方の協力も大きな力になったのではないでしょうか。 授賞式に随行された、あるご家族の方の言葉です。 「とても良い式でした。あんな場に参加できる機会は他に無いので、とても晴れがましかったです。また、職場での配慮があってこそ、25年間も働き続けることができたと思うので、このように、障害者本人だけではなく、障害者雇用優良事業所が表彰されるのも素晴らしいことだと思いました。これからも、障害者を雇用する会社がもっともっと増えて欲しいと思います。」 この言葉のとおり、この功績を表彰という形にしていただくことで、就労をめざしたり、働き始めたりしている障害のある人にとって、また、障害のある人を雇用する会社にとって、ひとつの目標となり、障害者雇用の更なる広がりや充実 につながることになって欲しいと思います。 そのためにも、当事業団での雇用の実践に引続きしっかり取り組んでいきたいと考えています。 【受賞した4名の職員のこれまでのプロフィール】 遠近 秀子さん(写真) 当事業団の設立以前のモデル事業推進協会の頃より、箕面市立メイプルホール内にある喫茶るうぷメイプルホール店にて働き始め、その後、当事業団設立と同時に職員となりました。 この頃、お客様からのオーダーを自分でとりたくて、文字を覚える猛特訓をして覚えた頑張り屋さんです。 その後、別の店舗である、喫茶るうぷライフプラザ店に異動になり現在に至ります。 お店では現在、洗い場担当として力を発揮してくれています。 東 武司さん(写真) 当事業団が設立された翌月から職員となりました。 就職当初から現在まで、緑化部門での作業に従事しています。 当初の市内を移動して作業する部署から、現在はみのおライフプラザの施設で作業する部署に異動になりましたが、夏の炎天下や真冬の寒さの中でも、毎日、主に屋外での作業を続けてきました。 職場までは自転車での通勤ですが、雨の日でも休むことはなく、所定の休日以外、ほぼ皆勤で出勤しています。 森岡 福子さん(写真) 遠近さんと同様に、当事業団の設立以前のモデル事業推進協会の頃より、箕面市立メイプルホール内にある喫茶るうぷメイプルホール店にて働き始め、その後、当事業団設立と同時に職員となりました。 その後、別の店舗である、喫茶るうぷライフプラザ店に異動になった後、アビリンピックの喫茶サービス競技大会で全国大会努力賞の受賞暦があります。 お店では 現在、実習生への指導係としても力を発揮してくれています。 白石 嘉隆さん(写真) 東さんと同様に、当事業団が設立された翌月から職員となりました。 就職当初から現在まで、緑化部門のうち、市内を移動して作業する部署で従事しています。 観葉植物や花苗の運搬で力を発揮してくれています。 また、仕事を着実にすることに対して強い信念を持った職人さんのような側面があります。 部署の職員たちが業務を真面目に取り組もうとする緊張感を常に保つことができているのは、彼がいるからこそかもしれません。 (写真含めた記事掲載については、本人およびご家族の了解を得ております) SST、やっています! 箕面市障害者雇用支援センターの取り組み 箕面市障害者雇用支援センターでは、一般企業で働くことを希望される人に対して、就職に向けてのトレーニングを実施しています。 今回、ご紹介するのは、SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)についてです。SSTとは、「社会生活技能訓練」と呼ばれているもので、元々は精神病院に入院している患者に対して行われていた、対人関係を中心とした社会生活技能を身につけるためのトレーニングです。 現在では、医療機関をはじめ、学校や職場など、さまざまな場所で活用されています。 就職を目指す上で、スピードや正確さなど作業スキルの向上を図ることは大切なことですが、職場での休憩時間の過ごし方や会社の人との接し方など、働く上で必要なマナーや振る舞い方などを身につけることも、作業スキルを身につけるのと同じように大切なことです。 このため、センターの訓練生は、普段の作業トレーニングと併せて、定期的にSSTに参加をしています。 SST は、【挨拶について】【電話応対の仕方】【ストレスの発散法】など、その日によって内容が変わります。 リーダー役の職員が、SSTを行う上でのルール (参加者の批判はしない・良いところを褒めるなど)を説明した後、スタートしていきます。 写真は、訓練生が就職を目指す上で必ず通る道、面接についてのSSTです。 言葉づかいや椅子への座り方など、職員が見本を示した後に、訓練生お一人おひとりに練習をしてもらいました。 緊張をして、自分が思っているような受け答えができなかった人、背筋をビシッと伸ばして受け答えしている人など、様子はそれぞれでしたが、みなさんとても真剣に参加をされていました。 今後に学びたいことのリクエストがあったりなど、SST はセンターでのトレーニングの一つとして定着しつつあります。 今後も、「働きたい!」という訓練生の思いに応えていけるように、支援を行っていきたいと思います。 面接の練習(写真) 障害者事業団での働く経験を、次のステージに 障害者事業団が行う市の委託業務現場で働いていた人の、現在の様子 障害者事業団では、障害者の働く場づくりの取り組みとして、市からの委託を受けて、公園花壇や街路樹枡の管理業務(緑化部門)や、市内各地から回収されたカン・ビンを再生資源の原料とするための手選別業務(リサイクル部門)等を行っています。 日々の業務を着実に行うことも大切ですが、そんな毎日の仕事を通じて培った経験を自信につなげて、スタッフの支援により今では地域の企業等で働いている方がおられます。 今回は、2名の方を紹介いたします。 ◆近隣の国立大学での清掃業務をしているSさん      清掃中のSさん(写真) 生活しているグループホームの支援職員さんの助言や後押しもあって、今年4月からは清掃業務で働いています。 障害者事業団での仕事を通じて知り合った仲間の存在が、今でもよい刺激になっているようです。 暑かった夏もこれまで経験してきた、障害者事業団での仕事と同じだと言い聞かせながら、頑張って乗り切りました。 ◆近隣の研究機関で芝生管理等をしているIさん(写真) 体力に自信のあるIさん。 障害者事業団での公園管理業務の経験も活かしながら、広い敷地の整備をされています。 会社の人との飲み会など、今まで経験がないことができるのも就職したからこそ。 今は、障害者事業団でも少しだけ経験した刈払機が上手く使えるように、 会社の人からの指導を受けてステップアップを目指しています。 (写真含めた記事掲載については、本人および勤務先の了解を得ております) 緑化部門での熱中症対策の紹介 みなさんは「高温注意情報」を知っていますか? 夏季に熱中症予防を促すために気象庁が発表する注意情報で、今年も連日発表されていました。 屋外での活動は避けて、屋内での空調使用や水分補給などの注意喚起が、繰り返し伝えられていました。 しかし、緑化部門にとっての夏季は、除草作業や花木へのかん水など、一年で一番忙しい時期です。 屋外での作業が避けられないため、いろいろな対策をしています。 体調チェック表(写真) 水筒、ペットボトル、タブレットなど(写真) まず、一日の作業をはじめる前に、「体調チェック表」に記入し、その日の体調を本人が、また周りの職員も把握します。 4 項目の簡単なチェックですが、熱中症予防の意識を高めてもらうために、また、少しの体調の変化に気づいてもらうために活用しています。 そして、作業中も、塩分補給のタブレットや 水分補給などを、こまめに行うことを徹底しています。 そのほかには、市販のベストや手作りのリュックに保冷剤を入れて体を冷やしたり、麦わら帽子を被ったり等で対策。 麦わら帽子など対策をして作業する様子(写真) 空調服を着て作業する様子(写真) 背中に2機のファンがあり、外気を取り込む空調服。 工事現場でも大活躍中。 今年の夏も、職員みんなの意識といろいろな対策で、無事乗り切りました。 来年以降も、さらに工夫を重ねていきます。 リサイクル部門での注射針の突き刺し事故から 箕面市立リサイクルセンターでは、「空きかん・空きびん」を資源として再利用するため材質や色で選別するしごとを主に手作業で行っています。 この作業は、障害者の働く場づくりと、質の高い資源化を目指して事業団が箕面市から委託を受けているもので、障害者職員を中心に15人の職員が従事しています。 以前から選別するかん・びんの中には、ごみなどの異物がたくさん含まれており、大きな課題となっていました。 その中で「注射針の突き刺し事故」が、今年の6月16日(木曜日)に発生しました。 前日の収集日に、インシュリン注射後の注射針(医療機関で確認)約20本が、資源ごみとして出され、ベルトコンベア上で透明の小さな注射針がむきだしの状態になっていたことに複数の職員が気づかず、異物を除去しようとした障害者をサポートする職員のゴム手袋の上から 指に刺さりました。 どのような経路で排出されたものかがわからないため、すぐに病院へ行き血液を介した感染症の検査も行いました。 幸いにも感染はありませんでしたが、針刺し事故の場合、潜伏期間を考慮し、受傷後半年間、経過をみる必要があります。 職場では、作業時に保護具を着用し、入職後もワクチン接種などの対策を講じていますが、注射針を資源ごみとして出されると、収集や選別作業の時に、刺傷や感染のリスクが高まります。 針刺し事故による職員の心理的ショックははかりしれませんし、命にも関わる大きな事故です。 事故後、箕面市とも協議し、ブログや現場の職員へ啓発いただくなど対策を講じていただいているところですが、7月8日(金曜日)47本、9月12日(月曜日)23本とインシュリン注射針混入が続いています。 また、豊中市と伊丹市共有のごみ処理施設「豊中市伊丹市クリーンランド・リサイクルプラザ」内で選別業務を受託されている株式会社きるとさんへも視察に伺い、同様の事故が発生していることや、対応策について情報共有をさせていただきました。 話しを戻しますと、箕面市では、注射針などの家庭で使用する医療器具その他感染性一般廃棄物は、「排出禁止物」となっており、ごみの収集日に出すことはできません。 注射針等は、受け取られた医療機関や薬局へ、容器に入れて必ず返却してください。 この問題は、社会全体の課題として捉えこのような事故がないようにしていく努力が必要だと思います。 どうか市民のみなさん、医療関係者のみなさんも、「ごみの正しい分別」とその先に作業する人がいることを知っていただきご理解ご協力をいただきたいと思います。 混入した注射針の写真 Viewpoint ナンバー36 読者の皆さん、こんにちは。 今回からは、「障害者の結婚について」を、シリーズで取り上げていきたいと思います。 障害者市民の結婚について 私は障害を持つ人は、結婚へのハードルが大きくあると感じています。 それは、異性との出会いもそうですが、結婚までたどり着いたとしても、実際に生活をする中にも困難が多くあるように思ってしまうからです。 けれど生涯の伴侶を得て、より幸せになりたいと思うことは、障害者もひとりの人間として生きていく上ではあたりまえの気持ちですし、私もそう思っています。 そこで障害がありながら、既に結婚生活をされている方にお話を聞いて、結婚についての様々な面を教えてもらう企画をしました。 今回は、大阪市内で相談支援専門員をされている、尾濱由里子さんにお話をお聞きしました。 ・尾濱由里子さんのプロフィール 香川県生まれ。 網膜色素変性症という進行性の難病で現在は視覚障害一級。 一般就労していたが徐々に視力低下と視野狭窄が進み退職。 大阪で白杖歩行やパソコンなどの訓練を受けて事務職として社会復帰を果たす。 結婚後は育児と相談支援専門員を両立して活躍中。 特定非営利活動法人障害者自立生活センター・スクラム所属。 ・社会復帰から結婚までの経緯 香川にいた頃、病気が進行してこれからどうしたらいいかという不安の中で網膜色素変性症の患者会に参加しました。 そこで医療相談をしていた講師に社会復帰について質問したところ、「視覚障害者で就労するには香川県では難しい。 大阪に出れば受け入れがあるのでは」と言われ、まずは視覚障害者が社会に適応するための生活訓練を受けなければと思い、大阪にある視覚障害者リハビリテーションセンターに入所しました。 入所中にピアカウンセリングを知り、ピアカン集中講座に初めて参加した時読者の皆さんに特徴的な声の運営スタッフと出会いました。 それが現在の夫との出会いです。 その後、建築事務所に一般事務で就労しましたが、ピアカウンセラーとして働きたい気持ちが強くなり障害者の相談支援をしている事業所に転職、そしていろいろあって、現在勤務するスクラムに転職しました。 ピアカウンセリングを知ったことで、障害者が社会に適応するのではなくて、障害者に合うように社会を変えないといけないと思えるようになりました。 夫とは2003年に結婚。 肉眼で夜空の星を見たことがない私に、「一緒に星を見よう」と言ってくれたことがきっかけでした。 「見えるようになるといいね」でもなく「見えなくてかわいそうだね」でもなく、対等に同じ場所に立って「一緒に見よう」と言ってくれたことがとても心に響きました。 この人となら対等な関係でいられるなぁと思いました。 ・妊娠、出産、育児について 妊娠中の不安はどんなお母さんにでもあると思います。不安を解消するため 出産やその後の生活についての情報を健常者のお母さんであれば友人や親、ネットなどから得ることができますが、私の場合は出産経験のある視覚障害者の友人や家族はおらず、ネットを見ても視覚障害者の子育ての情報などは皆無でした。 区役所に問い合わせたところ、すぐに保健師が訪問してくれましたが、電話帳より分厚い点字の母子手帳をもらって終わりでした。 ちなみに、私は点字はほとんど読みません(笑)。 また定期健診していた産婦人科クリニックでは医師から、「見えないのにどうやって育てるつもりか。自分一人でどのぐらい生活できるのかがわかるような診断書を眼科で取って来てもらわないとうちでは産めない」と言われ、傷ついたことは今も鮮明に記憶しています。 その後、転院して無事出産。 子どもの成長もあっという間で、9か月で保育園に入園。 その際に障害のある親が子供を保育園に送迎する際には移動支援が使えないという問題に直面しました。 「通勤通学など通年かつ長期にわたる移動」に該当したからです。 他のお母さんは自転車でわが子を送り迎えできるのになぜ私だけという思いで悲しくなりました。 制度上の障壁のために、本来母親として経験できるはずの大切な一時期を奪われて、本当に悔しかったです。 諦めずに交渉を続けた結果、途中から保育園卒園までは移動支援が使えることになり、卒園まで楽しく送迎できました。 現在では居宅介護の家事援助という制度の中で保育園送迎が認められています。 ・相談支援専門員から見た当事者の結婚事情と社会的意見 障害者の子育てに特化した相談機関がない、ないなら作らなければと思い、私と同じように障害がありながら子育てしているママを巻き込んでピアカウンセリングをメインとした、障害のあるパパママコミュニティ「S・I・O・N」というサポートグループを2007年より開始しました。 現在は月一回スクラムの事務所で開催しています。 視覚障害に限らず、肢体、精神、知的など参加される方の障害は様々で、みんなで不安や悩みを聞きあったり情報交換をしています。 ただ、参加される方は毎回2,3名で少ないのが現状です。 結婚して子育てをしている障害者がとても少ないのだと思います。 結婚は、障害者にとってまだまだ壁が高く、その壁は家族や社会の偏見や差別だったりします。 そうした抑圧を受け続けると障害者自身もパワーを奪われ、外出の機会も減り、出会いの機会も乏しくなります。 自分に障害があることから、恋愛や結婚に対し一線を引いてしまう当事者もいると思います。 私も以前は相手の顔が見えないので、異性に自分から声をかけたりは出来ませんでした。 ましてや、自分が結婚して子供を育てるなんて絶対無理だろうなぁと、漠然と考えていました。 でもピアカウンセリングを知ったおかげで、自分自身を見つめなおすことが出来て、恋愛や結婚に前向きになることが出来ました。 また最近では結婚というスタイルに囚われない事実婚の仲間もいますし、障害者健常者など関係なく社会がもっと多様性を認めて行けるようになれば、障害者もパートナーを見つけやすくなっていくと思います。 尾Mさんの話を聞いて感じた、新たな視点 尾濱さんが力強く発信した言葉は、目からうろこの言葉でした。 同じ障害当事者の立場から改めて聞くと新鮮です。 今回の取材を通じて拓けた視野に気付けました。 パートナーとの信頼に基づく「対等な関係性」、これがあれが結婚も上手くいくようにも思えました。 当事者が結婚することについて視野を狭めているのは世間だけではない。 当事者間にも温度を埋めるための相互理解が必要と感じました。 もちろん、パートナーとの関係には多様性があり、形式は十人十色ですが、想いを貫き、共感できる形のひとつが結婚ではないかと、私は胸に刻みました。 さて今回の企画はいかがでしょうか。 読者の皆さんのご意見やご感想をお聞かせいただけたら幸いです。 次回は、お二人とも重度の脳性まひを持たれている、ご夫妻を紹介します。 では、次回もお楽しみに。 担当、高田浩志 平成27年度(2015年度)障害者問題連続講座第2・3回目報告 平成27年度(2015年度)は、全体テーマを「『障害があっても、地域で学び、働き、安心して暮らしていきたい』その実現を応援するためのヒントを探る」と 題して開催した。 全3回開催した講座のうち、第1回目は、前号の機関誌 ナンバー50 にて報告したとおり、箕面市障害者事業団設立25周年記念講座として開催した。 第2回目と第3回目の開催について、簡単に報告をさせていただく。 第2回目 講師 谷口泰司さん(関西福祉大学 社会福祉学部准教授) テーマ 「高齢期にある知的障害者の生活課題」 開催日時 平成28年(2016年)2月5日(金曜日)午後6時30分から午後8時30分まで 内容 参加者数88名 全国規模での調査結果等の客観的なデータをもとに、高齢知的障害者がおかれている現状や課題を確認した。 施設での支援課題だけでなく、在宅の場合でも親やきょうだいが共に高齢化することで生じる問題も確認した。 さらには、地域での支援につながっていない高齢知的障害者も含めた地域での相談支援体制のさらなる充実の必要性を確認する講座となった。 また、学齢期には成人後を見据えた支援が重要であるのと同様に、早い段階からの高齢期での生活に円滑に移行することを見据えた支援も必要であるという視点もお示しいただいた。 第3回目 講師 高橋知音さん(信州大学 学術研究院教育学系教授) テーマ 「発達障害のある人の大学進学と合理的配慮」 開催日時 平成28年(2016年)3月7日(月曜日)午後6時30分から午後8時30分まで  内容 参加者数100名 高校卒業後に大学に進学する人が多いのは、発達障害のある人も同じ。 ただ、その後の人生のイメージができないまま単に問題を先送りするような漫然とした進学ではなく、自分の障害を踏まえた上で、学校側の支援を積極的に受けながら専門性の高い教育を受ける選択肢があることを確認する場となった。 障害のある学生が自らの合理的配慮を要請する力をつけることにもなり、将来の自立にとっても有効である。 ただ、各大学で実施している発達障害のある学生への支援状況は異なるので、事前の情報収集や相談を積極的にすることの重要性も合わせてご指摘いただいた。 【お知らせ】 箕面市障害者雇用支援センター利用者募集中です。 障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業所として、一般企業への就職に向けた支援を行う定員20名の通所施設を運営しています。 これまで利用された方の約8割が一般企業等に就職されています。 就職後のサポートも、同じ障害者事業団が運営する豊能北障害者就業・生活支援センターや訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援とも連携して、計画的に実施する体制を整えています。 (8ページの記事も合わせてご覧ください) 平成28年11月現在、利用定員に若干名の余裕がございます。 利用に向けた見学や相談等を希望される方がいらっしゃれば、随時対応させていただきます。 相談事業所のスタッフの方の見学等もお受けいたしますので、ご連絡をお待ちしております。 箕面市障害者雇用支援センター 電話 072・723・8801 【編集後記】 今回発行の機関紙では、より読みやすい誌面とするために、文字とサイズを統一した上で、ページ数をこれまでより増やしました。 これは、当事業団の日々の取り組みやトピックスを、より多くお伝えしたいと考えて取り組んだものです。 また、連続講座のお知らせは誌面の中に掲載していますので、各回の内容をご確認いただき、皆さまお誘い合わせのうえ、是非ご参加ください。 KSKQ 障害者事業団だより ナンバー51 発行日/2016年12月8日 編集人/一般財団法人箕面市障害者事業団(理事長 岡 猛博) 〒562-0015 大阪府箕面市稲1-11-2ふれあい就労支援センター4階 電話 072・723・1210 ファックス 072・724・3383 ホームページアドレス http://www.minoh-loop.net/ メールアドレス info@minoh-loop.net